サポート無 | サポート有 | 利益 | |
---|---|---|---|
取り決め | 口頭のみの取り決め | 合意書締結 | – |
養育費 | 月額15万円支払う | 月額換算で4万6000円支払う | 10万4000円減額 |
Aさんは、婚姻関係にない女性との間に、1歳のお子さんがいました。
交際して数年間は関係は良好でしたが、そのうち女性が妊娠し、出産しました。
女性はお子さんにいわゆるエリート教育を授けたいという強い希望があり、幼少期から高額な費用の保育園に通わせたり、英語などの習い事をさせたりしていました。
その金額は気がつけば月に15万円程度にまで膨れ上がり、さらに月平均30万円ほどの生活支援の求めにも応じていました。
当初Aさんは、何とか貯金を切り崩して支援をしていましたが、育児分担や経済的な問題から徐々に2人の関係は悪化し、警察沙汰の喧嘩を繰り返すようになっていきました。
女性は、何らかの手段を使ってAさんの別宅やAさんの親族の住所までも調べ上げ、同程度の経済的支援を継続しなければAさんの悪い評判を言いふらすと脅してきていました。
電話やメッセージアプリで「今からあなたの実家に行く」などの脅し文句が続く日々でした。
そこで、Aさんは、当事務所の離婚弁護士に相談しました。
弁護士は、Aさんの代理人として、女性に受任通知を送付し、養育費の取り決めについての協議をしたいことを通知しました。
また、これまでは、Aさんが15万円の習い事の費用と、女性の生活費も全面的に支援してましたが、養育費として算定表に基づいた金額を仮払いすること、今後の連絡は弁護士が窓口となるため、直接養育費について当事者同士での連絡はやめていただきたい旨通知しました。
これに対して、女性は電話や書面で独自に回答してきました。
回答書には、養育費は仮払いの金額には応じられないことが記載されていました。
当事務所の弁護士は、なんとか協議で解決できないか、相手方と直接交渉しましたが、相手方は電話でも一方的に怒鳴るばかりで話し合いになりません。
相手方は養育費の調停を申し立てることもしなかったため、弁護士が粘り強く交渉を続けました。
一般的な感覚としてですが、しばらく時間を置くと、当事者たちも精神的に落ち着いて、早く問題を解決してしまいたいという気持ちが強くなってきます。
徐々に当事務所の弁護士に対しても態度を軟化させ、具体的に、「一括払いで1500万円」という条件を提示してきました。
通常一括払いは応じませんが、本件ではAさんの強い要望があり、一括払いでの交渉を続けました。
そこで当事務所の弁護士は、概要として以下の主張・立証を行いました。
最終的に、相手方よりも低い金額で合意しました。
すなわち、養育費の取り決めをすることができ、養育費の金額自体も月額換算約4万6000円で減額することができました。
本件のポイントについて解説します。
当事者間での合意の有無について、支払いをしていれば同金額での合意があったものと推認されてしまうことが考えられます。
ただし本件については、合理性が認められないほど高額な養育費は、継続的な支払いに合意していたとまではいえないという可能性もあります。
合意がないと、相手方に言われるがまま、その時々に請求されるがまま適切かどうかわからない金額を支払い続けることになってしまいます。
仮に適切な金額だったとしても、分からないまま支払いを続けることや、相手方との取り決めなしにその場で言われた金額を支払うことと、取り決めをした上で支払うことには大きな差があります。
将来、養育費未払請求訴訟などによる二重支払いを防止するためにも有効です。
養育費について、くわしくはこちらをご覧ください。
養育費の計算ツールについて、くわしくはこちらをご覧ください。
離婚問題については、当事務所の離婚弁護士まで、お気軽にご相談ください。