疎遠となっている相続人らとの間で、不動産の遺産分割を完了したAさん

執筆者
相談者Aさん
70代
被相続人
Bさん(Aさんの叔母)
相続人
12名(うち、外国籍となられた方2名)
解決までの期間
2年6ヶ月
遺産分割
の解決事例
※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。

サポート無 サポート有
相続人 不明 相続人確定
相続人の所在 不明 所在判明
遺産分割 未分割 成立

 

状況

Bさんは、ご存命の時には、結婚もしておらず、子供もいませんでしたので、自分で購入をしたマンションで一人暮らしをしていました。

そうしたところ、体調不良からBさんが入院することになり、そのまま入院中に息を引き取りました。

生前にAさんとBさんは交流があったことから、生前に財産を管理していたBさんの友人からBさんの遺産を預かることになりました。

Aさんは、これからBさんの遺産分割を行おうと判明している相続人には声をかけましたが、返事が返ってこなかったり、進め方が大丈夫なのか不安なところもあってか、思うように話が進みませんでした。

そこで、Aさんは、当事務所の相続弁護士に相談しました。

 

 

相続弁護士の関わり

弁護士は、相談を受けたのち、まずは、相続人が誰になっているのかの調査から始めました。

Aさんは、相続人として把握していたのは、7名でしたが、実際に担当弁護士により調査したところ、Bさんの兄弟がもうひとりいて、既に亡くなっていたことから代襲相続により、甥姪の相続人が5名いることがわかりました。

その甥姪の戸籍を調査したところ、50年ほど前にアメリカに渡り、結婚して外国籍になっている相続人が2名いることもわかりました。

そこで、外国籍となっている相続人とどのようにして連絡を取っていくかということが問題になりました。

まずは外国籍となっている相続人のご兄弟に、ご存命か現在もその方と交流があるのか、お住まいがどこなのかなどを聞くことにしました。

しかし、ご兄弟の方々は1名については連絡が取れるが、もう1人については身元もわからないようでした。

そのため、身元のわからない相続人について、他の手段で身元確認と連絡をとることを模索しました。

ですが、結局のところ、まだご存命なのか、どこに住んでいるのかということは一切わからないままでした。

そのような状況であったため、Aさんとしても遺産分割をどうにか進めるべく、外国籍となっている相続人に、不在者財産管理人を選任し、その不在者財産管理人とともに遺産分割を進めていくということにしました。

そこで、担当弁護士は、不在者財産管理人を選任してもらうべく、これまでの身元調査の内容やその調査結果を報告書にしてまとめ、不在者財産管理人の選任の申立を行いました。

事前に調査を十分に行っていたこともあり、不在者財産管理人が選任され、そこから、相続人間での遺産分割協議を行いました。

その結果、無事相続人全てとの間で遺産分割が成立し、本案件が無事解決するに至りました。

 

 

補足

本件の問題となった部分について解説します。

相続人の確定

遺産分割は相続人全員が関わって初めて成立するため、まずは、誰が相続人となっているのかというところの確認をしなければなりません。

まずは、被相続人を含め、相続人全員の戸籍を取得して、相続人となるかどうかを確認する作業をしていく必要があります。

相続人がこれだけだ、と思っていても、よくよく調べてみると、相続人が別に存在していた、ということはよくあることです。

そのため、正確に相続人を確定させるためには、戸籍を読み解くスキル、相続人となるかどうかについての法的な知識・理解が必要不可欠となります。

相続人の確定について、詳しくはこちらをご覧ください。

 

相続人の所在不明の場合

身元が分からない相続人がいる場合にも、その相続人を除外して遺産分割をするということはできません。

そのため、身元不明者・行方不明者となっている人の財産を管理する人として、不在者財産管理人の選任を申立て、その身元不明者の代わりとなって手続きを進める管理人を選任してもらう必要が出てきます。

不在者財産管理人が選任されると、その管理人が身元不明者の代理人として活動ができるようになるため、遺産分割の手続きに参加をして相続手続きが進められることになります。

不在者がいる場合の遺産分割について、詳しくはこちらをご覧ください。

 

外国籍の相続人がいる場合

相続人の中に外国籍の方がいる場合に、遺産分割をどのように進めていくのか、どのような書類が必要となってくるのかということは、しばしば問題になります。

とくに、日本では、相続の際の不動産の名義変更に際して、遺産分割協議書やそれに実印捺印する必要や印鑑証明書を添付する必要が出てきたりと、印鑑という日本独自の文化があります。

諸外国では、実印や印鑑登録という制度はないため、日本で外国籍の相続人が参加をする場合には、公証人からの公証(サイン証明書)等が別途書類で必要となります。

このような書類が必要となることは、遺産分割を行う上でも、事前に相続人に告知しておくことでトラブルを防ぐことができます。

外国籍の相続人がいる場合の相続手続きについて、詳しくはこちらをご覧ください。

遺産分割問題については、当事務所の相続弁護士まで、お気軽にご相談ください。

 



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