Hさんは、家族と一緒に暮らしながら真面目に働き、一定の稼ぎを得ていました。
Hさんは昔からカメラの趣味があり、最初は自分の稼ぎの中でやりくりができていましたが、徐々に趣味にのめり込んでしまい、頻繁にカメラを買い換えたり写真を撮るために旅行に行ったりするようになりました。
家族と一緒に暮らしているとはいえ、当然そのようなお金の遣い方をしていると自分の給料だけではお金が足らなくなります。
Hさんはほんの少しだけと思って借金をしてしまいます。
しかし、借金をする一方で支出を抑える努力をしなかったために、今度は借金の返済に追われることとなりました。
雪だるま式に借金が増え、気付けば自分の年収よりも多い借金を抱えてしまったのです。
借金を返すために借金をする状態が続いたHさんは、今後のことについて当事務所の弁護士に相談をされました。
Hさんから相談を受けた当事務所の弁護士は、Hさんのお金の遣い方は浪費にあたり、免責不許可事由(借金が帳消しにしてもらえない可能性のある事情)があると判断される可能性が高いだろうと考えました。
しかし、裁量免責を狙うことによって借金を帳消しにすることは可能だと判断したため、その方向で破産の申し立てを行うこととしました。
Hさんのご家族は、当初Hさんに協力することに難色を示していたようですが、最終的には協力をしてくれることになりました。
そこで、着手金や裁判所への予納金を積み立ててもらったあと、速やかに破産を申し立て、免責不許可事由となる事情が今は解消されており、自分の収入の範囲で趣味を含めて家計をやりくりできていることを裁判所に伝えました。
Hさんは弁護士に依頼したあと、趣味に使うお金を限りなく少なくし、生活を再建することに成功していましたので、裁判所もHさんの努力を認め、裁量免責となりました。
債務整理の相談、特に破産しなければならないほどの借金を抱えている方の相談を受けていると、免責不許可事由が1つもないという事例はあまりありません。
大抵は浪費や名義貸しなど、何かしら裁判所が問題視する行為を行ってしまっています。
しかし、免責不許可事由があっても直ちに破産を諦めなければならないということはありません。
免責不許可事由があったとしても、初めての破産であったり、申し立ての時点で問題となった事情が解消されていたり、破産者が深く反省していることが裁判所に伝わったりといった事情があれば、裁判官の裁量で借金を帳消しにしてくれる可能性は十分にあります。
過去の裁判例においては、クレジット会社等に対して合計4100万円の債務があり、そのほとんどが特定の販売店と共謀した着物などの売買の架空契約によって発生した事案において、浪費の事実を認定しながらも、販売店に利用された側面があることが否定できないなどの事情を考慮して免責を認めたものもあります。
自分は浪費をしてしまったから破産はできないなどと思い込まずに、弁護士に相談して生活を見直すことが重要といえます。
免責不許可事由について、詳しくはこちらもご覧ください。
また、ギャンブルや浪費などが原因の借金の対処法はこちらをご覧ください。
家族には破産をすることを知られたくないと考える方は大勢いらっしゃいます。
家族に余計な心配をかけたくない、家族から愛想を尽かされるかもしれないなどの気持ちはとても理解できます。
しかし、同居している家族がいる場合には家族の協力が必要不可欠となります。
多くの裁判所では、破産手続きの中で、同居家族の収入資料や無資産証明書の提出を求められます。
家族に黙ってこれらの資料を入手することはほぼ不可能ですから、この時点で破産のことを伝え、協力をしてもらう必要があります。
また、同居している家族がいる場合、家計の見直しは破産者本人だけではできませんから、破産後の生活を立て直すためにも家族の協力が必要といえるでしょう。
破産をしたとしても家族に迷惑がかかることはないということを家族にきちんと説明すれば、安心して協力してもらえることも多いと思います。
当事務所では、ご希望があれば、破産手続きについて家族等の同席の上で詳しい説明も行なっています。
家族にとっての破産のデメリットについては、こちらをご覧ください。
破産を含め、借金問題でお悩みの方はぜひ当事務所にご相談ください。