送致後に示談をしたことで不起訴を獲得できた痴漢の事例

執筆者
Mさん
30代
罪名
迷惑行為防止条例違反(痴漢)
解決までの期間
1ヶ月
弁護活動の結果
示談成立、不送致
痴漢
の解決事例
※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。

背景事情

ある日、Mさんは仕事の接待でお酒をたくさん飲み、泥酔してしまいました。

取引先を見送った後の記憶もほとんどなく、次に意識がはっきりしたとき、Mさんは警察署にいました。

なぜ警察署にいるかも理解できていないMさんでしたが、警察官から次のような経過を聞かされました。

家に帰宅する途中、Mさんは前を歩いていた女性に声をかけ、仲良くなったと感じて女性にボディタッチをしてしまいました

驚いた女性が警察を呼び、そのまま任意同行という形で警察署に滞在していたということのようです。

Mさんは記憶がないものの、周囲の防犯カメラを確認したところ、間違いなくボディタッチをしている様子が映っていたことから、Mさんは事実を認めることとしました。

Mさんはその場で女性に謝罪を行い、警察からも厳しく注意はされたものの、当日以外に取調べに呼ばれることもなかったため、もう事件は終わったものと考えていました

しかし、事件から3か月後、Mさんは検察庁から呼び出しを受け、このままでは処罰を受けることになると告げられました

事件が既に終了していると思っていたMさんは慌てて相談する弁護士を探し、当事務所へ訪れました。

 

 

弁護活動の内容

相談を受けた当事務所の弁護士は、示談が成立すれば不起訴の見込みが高いことを説明し、Mさんから依頼を受けることとしました。

検察官を通じて被害者に示談交渉を申し入れ、連絡先を教えてもらった後すぐに交渉を開始しました。

事件から日が経っての交渉でしたが、当日にMさんが謝罪をしていたこともあり、数回お話をしたところ、なんとか示談がまとまりました。

そして、示談書等を検察庁に提出した結果、無事にMさんは不起訴処分となりました

 

 

ポイント

記憶がない場合の対応

被害者から被害申告があったものの、泥酔していた等の事情があり、自分の記憶が定かではない、もしくは全く覚えていないということは往々にして起こり得ます。

このような場合にどのように対応するべきかということは、悩ましい問題です。

事件が本当に起こっているのであれば、被害者に一刻も早く謝罪等をしなければなりませんが、被害者の勘違いや事実無根である場合にはきちんと否認をしなければ取り返しがつかなくなってしまいます。

基本的に記憶が全くない場合には余計な供述をしない方が無難です。

適当なことを言って、後から証拠との矛盾点が見つかってしまった場合、自分の供述を信用してもらえなくなる可能性が高いからです。

そうは言っても、Mさんのように記憶が残っていないものの、実際に事件を起こしてしまっているというケースもたくさんあります。

このようなケースの場合、一番理想的なのは警察から犯行を証明する決定的な証拠(防犯カメラ映像等)を見せてもらうことです。

警察がそのような証拠を見せてくれれば、無駄に供述を絞る必要もなくなりますから、捜査にも協力しやすくなりますし、被害者にすぐに謝罪をすることが可能になります。

Mさんの事例はまさにこのような対応が行われた事例といえます。

証拠を見せるということは捜査をスムーズに進めることにもつながるはずなのですが、担当する警察によっては、捜査上の秘密などという理屈を持ち出して証拠をなかなか見せてくれない場合も見受けられます。

このような場合は、自分の中でどの程度心当たりがあるかによって供述する範囲や内容を変える必要があると思っています。

自分1人で判断をすることは難しいでしょうから、刑事事件を専門に取り扱っている弁護士に相談した上で、対応方法を細かく決めていくことをお勧めします。

 

事件が終わったと思い込まないこと

Mさんは、事件当日に警察から解放されたことで事件が終わったと思い込んでいました。

刑事事件の相談を受けていると、似たような思い込みをしている方によく出会います。

しかし、被害者との示談交渉をしなければならない事件において、このような思い込みは非常に危険です。

被害者との示談を成立させるためには早い段階での交渉が望ましいのですが、勘違いを起こしたことで交渉の開始時期が大幅にずれ込んでしまい、示談交渉の成否に影響が出る可能性があるからです。

このような勘違いを起こさないよう、刑事事件の一般的な流れを理解しておいてもらいたいと思います。

警察の捜査は早ければ事件当日のみで終わることもあります。

Mさんの事例がまさにそのようなケースです。

警察の捜査が終了すると、証拠等を取りまとめて検察庁へ事件記録一式が送致されます。

これがよく報道で「書類送検」と言われるものです。

検察官への送致が行われたことは、被疑者本人に一切通知されません

警察の捜査が終わった段階で事件が終了したという勘違いをする理由はここにあるのでしょう。

警察から「もう呼び出しはしない」と言われたら、事件が終わったと考えるのではなく、検察官から呼び出しを受けるまでしばらく待たないといけないと考えてください。

すぐに弁護士に相談・依頼をすればこのような勘違いは防ぐことができますし、示談交渉にもすぐに移ることが可能になります。

警察から取り調べを受けた場合には、刑事事件を専門としている弁護士に相談するようにしましょう。

刑事事件、特に痴漢の事件でお困りの方は、こちらのページをご覧ください。

 

 



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