刑事弁護士のサポートなし | 刑事弁護士のサポートあり | |
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早期釈放 | 勾留決定が出てしまい、最大20日間にわたって勾留される | 裁判所への準抗告により、数日で釈放 |
示談 | 被害者と連絡を取ることができないため、不可能 | 弁護士を通じて示談交渉を行い、示談成立 |
処分結果 | 略式命令による罰金刑 | 不起訴 |
その後の生活 | 職場に発覚し、失職の可能性もあった | 職場への発覚はせず、以前と同様の生活に戻ることができた |
Kさんは、ある日の終電間際に、駅のホームで、前に立っていた女性のスカートの中にスマートフォンを差し向け、盗撮をしてしまいました。
Kさんは本件当時かなりの量のお酒を飲んでおり、泥酔状態でこのようなことをしてしまったのです。
Kさんの行為はすぐに発覚し、Kさんはその場から逃げようと試みましたが、駆けつけた警察官にその場で取り押さえられることとなりました。
Kさんの奥様は、深夜に警察からの連絡を受け、Kさんが逮捕されたと言う事実を知り、非常に動揺しました。
どうして良いか分からず途方に暮れていたKさんは、当事務所の刑事事件を中心に扱う弁護士に相談されました。
Kさんには子どもがおり、生活面でも特に困っていることはなかったため、Kさんの奥様は「主人がそんなことをするはずがない」という思いも抱いていました。
そのため、「まずは本人の話を聞きたい」と考えましたが、逮捕直後は弁護士しか面会することができないため、まずは逮捕されたKさんから直接話を聞いてきてもらいたいとのご依頼をいただきました。
当事務所の刑事弁護士は、Kさんの奥様から依頼を受け、直ちに接見に向かい、本人の話を聞き取りました。
Kさんは、これまで盗撮などしたことはなかったにもかかわらず、今回に限ってはお酒の勢いもあり気が大きくなってしまい、今回の盗撮を行ったと話していました。
Kさんは、「大変なことをしてしまった、被害者の方に謝罪したい」と涙ながらに反省されておられたため、その様子をKさんの奥様にありのままご報告しました。
そして、正式な弁護活動のご依頼をいただいたのです。
当事務所の刑事弁護士は、Kさんの早急な釈放と示談の成立による不起訴処分を目標に、弁護活動をスタートさせました。
面会の翌日、Kさんに対して勾留決定が出され、Kさんは勾留されることとなりました。
しかし、盗撮行為に使用したスマートフォンは既に捜査機関に提出済みであり、撮影した画像などを後から削除することなど一切できません。
また、被害者とも一切の面識はなかったことから、被害者やそのご家族に接触して示談に応じるよう迫るなどといった働きかけを行うことも全くできません。
つまり、Kさんが証拠を隠滅する可能性は皆無でした。
加えて、Kさんはご家族と一緒に持ち家に居住しており、職場においても役職を与えられていました。
他方で、Kさんには前科・前歴など一切なかったことから、仮に刑事処罰を受けることになったとしても、略式命令による罰金刑となる可能性が極めて高い状況でした。
そのため、執行猶予なしの懲役刑を言い渡され、刑務所に行かなければならなくなる可能性はほとんどなく、Kさんが懲役刑を嫌って逃亡するというおそれはありませんでした。
弁護士は、裁判所に対し、上記の事情を丁寧に説明するための書面を大急ぎで作成し、勾留決定を取り消すよう求める準抗告を行いました。
その結果、準抗告が認容され、Kさんは最大20日間勾留される可能性もあったところ、数日で釈放されることになりました。
Kさんが釈放された後、弁護士は捜査機関から被害者の連絡先を確認しましたが、被害に遭われた方は未成年であることが判明しました。
そのため、被害者のお父様が窓口となるとのことでしたので、弁護士はお父様の連絡先を伺い、直ちに連絡を取りました。
当然ながら、大切なご家族が性犯罪の被害に遭ったことに対するお父様のショックや怒りは大きく、厳しい処罰を望んでいるというお考えでした。
示談交渉にあたった弁護士は、こうしたお父様の言葉にじっくりと耳を傾け、最大限の誠意を持って交渉を行いました。
すると、お父様は少しずつ心を開いてくださり、最終的にはご家族での話し合いの末、示談に応じてくださるとのご連絡をくださいました。
お父様は、サインをした示談書をわざわざ当事務所までご持参くださり、その際に弁護士に対し「厳しいことをたくさん言ってしまい申し訳ありませんでした。先生がしっかりと聞いてくれたので救われた部分もありました。おかげで家族全員のモヤモヤが少し晴れました。ありがとうございました。これからも頑張ってください。」というお言葉をかけてくださいました。
その後、捜査機関に対して示談書を提出したところ、Kさんは無事に不起訴となり、元の生活に戻ることができました。
今回のポイントは、①身体拘束からの早期解放を実現できたこと、②通常よりも厳しい状況での示談交渉において、とにかく粘り強く、被害者のご家族のお話に真摯に向き合い続けたことが挙げられます。
まず、身体拘束からの早期解放について、警察署の留置施設での生活を強いられるのは身体的にも精神的にも大きな負担が伴います。
さらに、勾留が長引いてしまうと職場への発覚は避けられず、その後の生活にも重大な影響が生じてしまう可能性が高まってしまいます。
今回は勾留決定の翌日に準抗告が認容され、早期釈放を実現することができたので、Kさんはすぐに元の生活に戻ることができ、負担を最小限に抑えることができました。
身体拘束からの早期解放について、詳しくはこちらをご覧ください。
また、今回は未成年者が被害者であったこともあり、示談の成立は難しいことが予想されました。
というのも、未成年者は基本的に単独では示談交渉はできず、親御さんが窓口となることになります。
ですが、ご自身のお子さんが犯罪の被害に遭ったとなれば、ご家族は当然強くお怒りになります。
場合によっては、ご自身が被害に遭った場合よりも強くお怒りになるケースも珍しくありません。
そのため、被害者が未成年である場合、通常よりも示談交渉は難航する可能性が高いといえるでしょう。
今回も事前の予想どおり厳しい示談交渉となりましたが、最後まで諦めずにご家族のお話に耳を傾け、被害に遭われた方々に寄り添う姿勢を崩さなかったことで、最終的にご家族の皆様からもご理解いただくことができ、依頼者にとっても良い結果に繋げることができたと考えられます。
示談交渉について、詳しくはこちらをご覧ください。
本ケースは、早期釈放・示談成立による不起訴という結果を実現することができたという点で、逮捕後の早い段階で弁護士を選任するメリットを最大限実現できた事案であると考えられます。
ご依頼のタイミングが遅れてしまうと、勾留が長引いてしまい職場への発覚のリスクが高まっていたかもしれません。
こうした観点からも、やはり「刑事事件はスピードが命」であるといえるでしょう。
身内が逮捕されてしまうなど、刑事事件に関してお困りの方は、一刻も早く刑事事件に強い弁護士にご相談されることをお勧めします。