自力での更生が見込めると判断され、不処分となった少年事件

執筆者
Gさん
10代
罪名
盗撮の非行
解決までの期間
5ヶ月
弁護活動の結果
不処分
盗撮
の解決事例
※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。

背景事情

高校生であるGさんは、3年間必死に部活に打ち込んできましたが、ついに部活を引退する日がやってきました。

当然、引退後は受験が待ち受けていますから、これまで部活をしていた時間には勉強をしなければなりません。

塾で慣れない勉強をしているうちに、身体を動かせないストレスが徐々に溜まっていきました。

ある日、Gさんは出来心から塾の中で盗撮に及んでしまいます。

許されないことですが、盗撮によってストレスの解消を図ってしまったのです。

被害に遭った方が盗撮に気付いたため、警察が介入する事態になり、警察の捜査によってGさんが犯人と特定されました。

思いもよらない事件にご両親は驚き、受験への影響等を避けるべく、当事務所に相談に来られました。

 

 

弁護活動の内容

相談を受けた弁護士としては、非行に及んだ問題点が根深いというわけではないという印象を受けました。

しかし、性犯罪は再犯のおそれが類型的に高い犯罪であることから、今のうちにしっかりと矯正をしておかなければ大人になってからも同じ様なことをやりかねません。

そのため、更生を促すために弊所で作成した課題に取り組んでもらい、弁護士と一緒に反省を深める作業を行うとともに、専門治療機関への通院を行ってもらうことにしました。

なぜ盗撮が犯罪とされているのか、盗撮をされた被害者はどう感じただろうか、これから同じことをしないためにどう行動すべきかなどを深く考えていく中で、Gさんは自分の言葉でしっかりと反省を述べることができるようになりました。

また、被害に遭った方への謝罪も当然試みましたが、どうしても事件に関することを話す抵抗感が拭えないとのことで、お話をすることはできませんでした。

このような活動を行なった上で家庭裁判所の審判に臨んだ結果、「Gさんのやったことは決して軽いことではないが、自力での更生が十分に見込める」と判断してもらうことができたため、処分を受けることはありませんでした。

 

 

ポイント

少年事件の取り組み方

成人の刑事事件が、罪を犯した成人に対して刑罰を科すことがことを目的とした手続きであるのに対して、少年事件は、まだ未熟な子どもが将来同じような犯罪に及ばずに更生するための道を探る手続きです。

この手続きの意味合いの違いから、少年事件と成人の刑事事件とは異なる部分が多々あります。

例えば、成人の事件であれば、処分決定において重視されるのは被害者との示談の有無や、生じた結果の重さといった事情です。

更生が見込まれるかどうかといったことも考慮はされますが、補助的な要因として扱われていることが多いように感じます。

これに対して少年事件では、もちろん結果の重さや被害者にどのような対応をしたかということも考慮はされますが、「この子が更生するためにはどの処分を与えるべきか」という観点から処分が決められることになります。

そのため、成人であれば必ずしも重い処罰とならない事件であっても、少年の問題点が根深ければ少年院送致等の処分を受ける可能性もありますし、反対に問題点が完璧に解消されている(もしくは解消される見込みが高い)のであれば、示談が出来なかったとしても処分を受けないという可能性もあります。

少年事件においては、少年が抱えている問題点をどう解決していくかという取り組み方が重要になります。

当事務所では、事件の性質に応じて、少年のために課題を作成することがあります。

課題に取り組んでもらい、一緒に振り返りを行うことで、少年が自分の抱えている問題に気付いたり、反省を深めたりする手助けができるのではないかと考えています。

このように当事務所では、自力での更生が見込めると家庭裁判所に判断してもらえる可能性を少しでもあげるために熱心な活動を行なっています。

 

専門治療機関への通院

当事務所が相談を受ける事件のうち、家庭内で性教育をしっかりと行なっているケースはほぼ見受けられません。

適切な教育を受けていないうちに認知が歪み、性に関する部分で他人の気持ちを考えることができない心理状況に陥ってしまっているのではないかと思います。

事件を起こしていない少年の家庭を含めて、ほとんどの家庭が同じような状況です。

家庭の中で性教育を行うことに気恥ずかしさを感じたり、どうしたらいいのか分からなかったりという事情があるのでしょう。

しかし、性犯罪は特に再犯の可能性が高いといわれている非行ですから、しっかりと再犯防止に取り組まなければなりません。

そこで、当事務所では家庭内の取り組みを提案するだけでなく、専門治療機関への通院を打診することが多々あります。

専門家の力を借りることで、少年に生じている問題点を解消できる可能性を上げることができるため、家庭だけで対処が難しいと感じられる場合には専門治療機関を利用することをお勧めします。

専門治療機関の利用が予定されている場合には、家庭裁判所の審判においても処分を与えなくてもいいのではないかと考えてくれるケースがありますから、少年事件で処分を受けないためにも有用といえます。

ただし、忘れてはならないこととして、少年事件の処分は刑事事件の刑罰とは異なり、少年の更生のために行われるものです。

生活が窮屈になる部分が出てくるとはいえ、悪い印象ばかりを持たないように注意してください。

少年事件について、詳しくはこちらもご覧ください。

少年事件でお困りの方は、少年事件に注力する弁護士が複数在籍する当事務所に、ぜひご相談ください。

 



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